降り始めた雨はだんだん激しくなっていき、バスが山道に入った頃には嵐が来た時のようになっていた。風が荒々しい音を立て、木々が激しく揺れている。窓ガラスに大粒の雨が打ち付けられ、遠足を楽しみにしていた私たちの中に「こんな天気で大丈夫なの?」という空気が流れていく。

「天気、すごく荒れてるね」

私の後ろに座っている桜河くんが話しかけてくる。私も「うん」と頷き、荒れている暗い空を見上げた。

木々がたくさん話しかけてくる。うるさいくらいだ。私が耳を傾けると、怒ったような声が頭に響く。

「早くこの山道から逃げろ!」

「土砂崩れが起きるぞ!」

私がその言葉をハッキリと聞き取った刹那、さらに木々が激しく揺れる。全身で警告をしてるんだ。このままじゃ、みんなの命が危ない!

もうこの力がバレてしまうとか、どうでもよかった。このままだとみんなを死なせてしまうかもしれない。そんなの嫌だ!

私が立ち上がると、周りからの視線が刺さる。座りなよ、と友達が言い先生も何か話しかけてくるけど、そんな言葉を聞いてなどいられない。