「いつもありがとう。迷惑かけているのは私なのに、なんか・・・悪い。」
麻衣が申し訳なさそうに手にすると稜真が麻衣の頭をポンと撫でる。

「じゃあ、もうやめるっていうの、なしにしないか?」
「え?」
稜真の言葉に麻衣が顔を上げて稜真を見つめる。
「ずっと言わなかったけどさ。」
稜真は麻衣の決心が硬いことを知っていたからこそ、やめないでほしいと言えなかった。仕事の仲間としてはそばにいてほしい。でも、麻衣を想う・・・親友としては、一人で立ち向かう大きな運命にすべてをかけようとする気持ちがわかり、止められずにいた。
「だってお前、大丈夫だろ?もう」
「え?」
「二人を見てればわかる。」
病室の扉の方に視線を向ける稜真。

「・・・そうかな・・・」
耳まで真っ赤になる麻衣に、稜真は思わずふっと笑う。
「本当に手のかかる二人だな。」