きっと一晩中理久は、これからのことを考えていたのだろうとすぐにわかる麻衣。

「ありがとう」
自分と、お腹の子を守ろうとする理久の気持ちが温かくて、麻衣は思わず口にしていた。
「こちらこそ。ありがとう。」
「でも、仕事、大丈夫なの?」
「あぁ。今日はここからリモートでできることばっかりだし。」
「そう。」
「あぁ」
髪をとかし終えた理久が、かがみを片付けていると病室の扉がノックされた。

「稜真」
「おう」
病室に入ってきたのは稜真だった。
麻衣は病室で仕事をしているものの、今までの半分も作業ができていない。
その分稜真に負担がかかっているものの、稜真はよく病室に顔を出してくれている。