「わかってるよ。」
麻衣がゆっくりとベッドから足を床に着く。
理久はすぐにしゃがんで麻衣の足にスリッパをはかせる。

「ありがと」
「どういたしまして。気を付けて。」
「うん」
麻衣はベッドの手すりをつかみながらゆっくりと立ち上がる。
「ゆっくりな?」
「うん」
理学療法士から、理久もどう支えたらいいかを聞いている。

立ち上がった麻衣が転ばないようにゆっくりと、洗面台に向かうのを、支える。

「理久も顔、洗って?」
「おう」
洗面台の前に理久が椅子を用意して、まだずっと立っていることのできない麻衣を理久がゆっくりと座らせる。