翌日、麻衣が目を覚ますと隣で自分を見つめている理久がいた。

「おはよう」
「おはよう」
2人、目をあわせてまぶしい朝陽に照らされながら、今までになく少し恥ずかしいくらいの幸福感を感じる。

「もうすぐ看護師さん、来るな。」
「うん。今日は診察もあるから」
「そうだな。頑張って、早く退院して、新しい生活始めたい。」
「うん」
理久は体を起こして、麻衣が起きるのを手伝う。

ベッドの背を上げて、麻衣が体の向きを変えて、ベッドから足を降ろす間も、理久は背に手をあてていつでも支えられるようにしてくれている。
「甘やかさないでね」
自分でやらないとリハビリにならないからと、麻衣が理久に伝えると理久はふっと笑う。