それが理久からの連絡で踏ん切りがついた。

今、一番は歌だと言った理久。

どうして麻衣じゃないんだと、理久の気持ちに対して苛立った稜真。

麻衣がこんなにも、一人で我慢しながらふんばろうとしている時に、どうしてそばに居てやらないんだと苛立った。


非常階段で冷静さを取り戻そうとしている時に、稜真はふと思った。

自分には知らない二人の時間がある。
ふたりの間にある見えないけれどつながっているものがある。

だから・・・今は歌が一番だと言った理久。
その言葉の背景には麻衣への大きく深く、堂々とした思いがあるからなのかもしれないと気づいてしまった。