「幸せだよ?」
「本当に?」
「うん。・・・想像していた幸せとはカタチが違うかもしれないけど。幸せ。」
自分のお腹にそっと手を触れる麻衣。
その表情はすでに今までの麻衣とは違っていて、守ると決めた大切な存在に、麻衣はちゃんと向き合って前に進み始めていることを感じた。

「そっか。」
「なに?突然。何かあった?」
稜真は麻衣の頭にポンと手をあてて「何でもない」と仕事に戻った。


ずっと好きだった。
一緒に仕事をして麻衣の魅力を知って、麻衣との時間が増えるほど、その想いは膨らんでいった。
でも麻衣を知れば知るほど、麻衣が何を考えているか、何を思っているかわかるようになった。

だから気づいていた。
麻衣はほかの誰かを想っていることを。