『俺は不器用なんで、もう少しは余裕ないかな・・・。こういう時、うまくこなせたらいいんですけどね。バランスっていうか。切り替えるっていうか。』
「・・・そうですか」

稜真は空を見上げた。

そして、心を決めてから「すみません、変な質問して。野川に伝えておきます。」と伝えて連絡を切った。

通話を終えた携帯電話を握りしめたまま、その場にしゃがみこむ。
非常階段の壁にもたれたまま空を見上げる。

これでいいのか・・・?
これでよかったのか・・・?

稜真は麻衣を顔を合わせるまでに、気持ちを切り替えようと、しばらく非常階段で空を見つめた。