教科書を抱える手に、手汗が滲み出る。

変に緊張してきた。


やっぱり…「よろしくねっ」で、軽く会釈するくらいでいいかな。


よし、それでいこう!


そう思っていたのに――。



新しい席に向かって目に入ったのは、机に顔を伏せて寝ている金髪ヘア。


…でも、なにかがおかしい。


一条くんがいるのは、窓際の一番後ろの席。

そこは、30番である…わたしの席のはず。