大柄な男『はい!』
と言い大柄な男は部屋から出て行こうとしたところを
滝沢『おい!』
大柄な男『はい!』
大柄な男は慌てて戻って来た。
滝沢『そいつを連れて服、何着か買ってこい』
大柄な男『わかりました!』
と滝沢に言い
大柄な男『じゃあ行きましょう』
と大柄な男がリカに言う。
リカは大柄な男について部屋を出ていく。
黒塗りの車に乗り、走り出してしばらくすると大柄な男が話し出した。
大柄な男の名は小里というらしい。
小里『あまり目立つところは行けないので、洒落た服は無いかもしれませんが勘弁してください。』
リカ『あ、はい…』
着いた場所は寂れた商店街の古くからありそうな婦人服屋。
そこで何着か着れそうな服を選び小里が精算を済ますと同じ車に乗りこみ走り出した。
リカ『あの…』小里に話しかける。
小里『はい?』
リカ『滝沢さんは、その…何者と言うか…ヤクザさんなんですよね?』
小里『あぁ…滝沢さんは何も言ってないんですか?』
少し笑いながら言う。
思ってたより小里は気さくな感じで安心した。
リカ『はい、滝沢さん何も話さないので…』
小里『あの方は、ん~、わかりやすく言うと、今どきの言い方で言えばフリーランスの殺し屋ですね。』
リカ『殺し屋!?』
小里『はい、今はうちの組とは契約してるという感じですかね。』
リカ『フリーランス…の、殺し屋…』
小里『あと…』
リカ『はい』
小里『うちの組長も頭が上がらないらしいです』
と笑いながら話した。
小里『はい、着きました、部屋まで買った服持って行くんで』
そう言って滝沢の部屋まで運んでくれた。
小里『ではこれで失礼します!』
と言って小里は部屋を出て行った。
滝沢は携帯を見ながら
『お前、臭うぞ』
それどころでは無く忘れていたが、そう言われてみればバイト前にシャワーを浴びてから入ってない。
考えれば、後ろから襲われ死体を目の前で見、
次の日には政治家が殺しの依頼をする現場に立ち会わされ、
たった1日でこれだけの事が起きたのだ。
何回冷や汗をかき何回乾いたのだろう…
それどころではなかったとはいえ、少し恥ずかしくなった。
リカは『シャワーをお借りします。』
と言うと先程買った服の中から部屋着っぽい服を持って行きシャワーを浴びる。
不思議な感覚だった。
結婚して浮気もした事がないリカはごく平凡な主婦でごく平凡な毎日を過ごしていた。
それが今、やましい感情が無いし仕方がない状況ではあるが、知らない男の部屋でシャワーを浴びている。