リゾートホテルリビング


勇次郎が滝沢に


勇次郎『そこにお座りください。』


滝沢がソファーに腰を下ろす。


大きなガラステーブルの向かいのソファーに勇次郎も腰を下ろすと勇次郎が


勇次郎『そちらの方は?』

とリカを指し滝沢に聞く。


滝沢『お前のそれと一緒だ』

と勇次郎のソファーの横に立つ秘書を指した。


勇次郎が理解をしたように頷き


勇次郎『ではお互い秘書は残して他の方は外して頂きたい。』


そういうと4人を残しリビングから出ていく。


4人だけになって勇次郎が口を開く


勇次郎『わざわざ時間を使って頂き…』
さえぎる様に滝沢が

滝沢『で、誰を殺って欲しい?』


リカは混乱していた。
政治家とヤクザ、私がこの人の秘書?
やってほしいって誰かを殺して欲しいってこと?


勇次郎が1枚の写真をガラステーブルに置く。


その写真の人物を見てリカは目を見開いて驚く。
その人物は大野勇!?


元総理大臣…そしてここにいる勇次郎の実の父親!


勇次郎の秘書がガラステーブルにアタッシュケースを置き滝沢の方に向けてアタッシュケースを開けると


勇次郎『ご確認を』


滝沢『いや、いい』


勇次郎『前金で5000万用意させて頂きました。成功報酬でもう5000万、どうですか?』


滝沢『元首相の命も安いもんだな』


勇次郎『ではいくらなら?』


滝沢『いや、いい。ところで俺もお前に頼みがある』


勇次郎『なんでしょう?』


滝沢はリカを指を指した


滝沢『こいつを消してくれ』


と言い内ポケットからリカの免許証を出してガラステーブルに置く。


リカは驚いた…
必死に冷静な振りをしたが背中に汗が伝う感触があった。


『それと…こいつの新しい戸籍をくれ』


そう言うと滝沢は開いたアタッシュケースを進次郎の方に向けて


滝沢『報酬は5000万だ』と言った。


勇次郎は少し考えた様子だったが


勇次郎『わかりました。』


滝沢はスっと立ち上がりリビングを後にする。


呆然としているリカを勇次郎が見ている。


その視線に気づきリカが


リカ『失礼します!』


とお辞儀して足早にリビングを出て滝沢の後について行く。


来た時のワンボックスに乗り込み来た道をひたすら走り帰って来た。


帰るなり冷蔵庫から缶ビールを取り出しソファーで滝沢はビールを飲みタバコに火をつける。


リカは考えていた。


私を消す…


結局、私は殺されるの?


いや、だったら新しい戸籍って…なぜそれを5000万という大金で?


まったくわからない…


滝沢に直接聞こうとも考えたが、車に乗ってから今もずっと滝沢は何かを考えてる様だったので聞けないでいた。


ドアをノックする音がして滝沢が
『入れ!』と言うと若い大柄の男が一杯に入ったビニール袋を両手に持って入って来た。


滝沢がその大柄な男に
『その辺に置いとけ』と言う。