全身に鳥肌立つのと同時に恐怖が再来する。


少し間呆然としていたリカ


滝沢『メシがある、食え』


振り向くとキッチンの前のテーブルに食べ終わった皿が1つと炒飯が入った皿が1つあった。


そして見渡すと滝沢の姿がなかった。


炒飯の置いてあるテーブルに腰を下ろし炒飯に手をつける。


どれくらい呆然としていたのだろう。


滝沢が作ったのか、いつ滝沢が食べたのか、それに気づかない程の絶望感だった…


まったく空腹感はなかったが、炒飯を一口食べて自分がどれほど空腹だったのかを気付かされた。


ガチャっと音がして滝沢が戻ってきた。


裸に腰にバスタオルを巻いた状態、たぶんシャワーを浴びて来たのだろう。


食べ終えたリカが2人分の皿を持ってキッチンに行く。


滝沢は冷蔵庫から何かを取り自分のベッドに行こうとしたときリカが


リカ『あの…』


滝沢は振り返り
『あ?』


言葉が詰まるリカ。


こ…怖い…


滝沢は少し急かすように
『なんだ?』と言った。


リカは言いにくそうに


リカ『お名前は…何とお呼びすればいい…ですか?』


滝沢は睨みつける表情から綻び
、なんだそんな事かと言うように


滝沢『フッ!滝沢だ』


そう言ってビールの缶を持ってベッドへ行った。


リカは死ぬことはないにせよ


一生ここから出れないかもしれないこと


一生この滝沢に従って生きて行くこと


少し冷静に受け入れることにした。


でないと、チャンスがもし来たとき柔軟な行動が取れないと考えたからだ。


皿洗いを終え先程炒飯を食べたテーブルの椅子に腰を下ろすリカ。


ここはこの空間で滝沢と距離を取れるので無意識にここに座った。


滝沢『おい!何してる?』


大きい声で滝沢は言った。


冷静になろうとするも、一気に緊張が走り


リカ『あ!はい、いえ何も…』


とリカは急いで答えた。


滝沢『俺は寝る、逃げたきゃ逃げればいいし、死にたくなればそれもいい、このまま俺と居ても同じようなもんだろ』


そう言って滝沢は寝た。


確かにそうかもしれない、でも生きることが唯一の希望…今は


『逃げる…』


この建物からの出入口は1つ、見張りがきっとずっといるのだろう。


『やっぱり無理よね…』
そう心の中で呟いた。


寝れるかわからないがリカはソファーに横になった。
今日はここで寝ることにした。


そして静寂の中、色んなことがリカの頭の中を輪転する。


━━━━━━翌朝━━━━━━━



テレビの声でリカは目が覚めた。


ニュース『……発見されたのは、住所不定無職、指定暴力団幹部の丸山泰造さんで………』


『犯人は昨夜自首しており暴力団同士のいざこざが原因だと……』


『え?昨日の?』
リカは滝沢を見た。


滝沢はベッドに横になったままニュースを見ていたがテレビの電源を切る。


リカの視線に気づき滝沢もリカを見る。


『なんだ?』


リカは慌てて首を横に振る。