滝沢『……。』
滝沢は、天井を見上げタバコの煙を吐き出す。
リカ『私は!平凡な毎日だったけど!特に不満なく暮らして生きてました!』
リカは、ベッドから降りて立ち上がった。
リカ『あなたに、私の人生の全てを奪う権利があるんですか!?』
リカは、滝沢のところに歩いて行く。
リカ『なんでこんな目に合わないといけないですか?』
リカの目から涙が溢れ出す。
リカ『生きる為に言いなりになって!殺人の手助けまでして!なんなんですか……』
リカは、泣きながら訴えた。
滝沢『お前が、死にたくないって言ったからだろ。違うか?』
リカ『確かに言いました…でも…こんな…。』
滝沢『この先の人生は、生きるも死ぬもお前の好きにしろ。』
リカ『洋太!』
リカは、今日見た夢のことを思い出した。
リカ『洋太は?洋太は無事なんですか!?』
滝沢『もういいだろう、新しい人生ことを考えろ。』
リカ『良くない!新しい人生のことなんか……』
リカは少しの違和感を感じた。
「もういいだろう」その言葉にも引っ掛かる。
リカ『ちょっと待ってください……もしあの日、滝沢さんに出会ったのが偶然なら何故さっき「バイトが終わって、足取りはわかってない」って言ったんですか?何故、私がバイトをしてるのを知ってるんですか?』
リカ『それは私の存在を消すのに大野勇次郎が調べたのかも知れません。じゃあ「もういいだろう」って、洋太のこと知ってますよね?その言い方なら』
滝沢『ふぅー!』
深くため息をつく滝沢
リカ『バイトが終わった後、私が滝沢さんに会ったのは偶然じゃないんですね?』
滝沢『……偶然だ。』
リカ『嘘!ほんとのことを教えてください……』
滝沢『聞いたら、全て忘れて新しい人生をしっかり生きて行くと約束しろ。』
リカ『……わかりました。』
滝沢『お前と会ったあの日、組同士の揉め事が発端で受けた仕事で俺は、あの丸山という男を殺した。』
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回想。
丸山を殺害後、工事で迂回し、たまたまリカがそこを通りがかる。
滝沢は、仕事の依頼じゃないと人間は殺さない。
あくまで依頼があるか、滝沢自身に危険が迫らないと殺らない。
街頭がほぼない細道、暗がりだが確かにこちらに歩いて来る人影。
滝沢『チッ!このままこっちに歩いて来たら見られるな。』
滝沢はリカとすれ違いざまに後ろから遅い、そのままここに連れて来た。
滝沢は、リカに持ち物を出すように言う。
リカの携帯を、ポケットにしまい財布から免許証を出して見る。
滝沢『リカ…。』
滝沢は思い出した。
この女は、結城リカ。
【昨日、殺しの依頼があったターゲットの女。】
さすがに女や子供を殺るのは未だに馴れない。
だから依頼の返事は、まだしていなかった。
だが、丸山殺害の現場で偶然出会い今ここに居る。
しかもリカは、非常に怯えていた。
考えた末、『で、お前どうする?』と聞いた。
リカの、まだ死にたくない強い気持ち…それと、リカが死ななければならない理由…。
それを考えたら殺せなくなった。
まだまだ甘いな俺も、と思いながらも仕事を見られたからには野放しにも出来ない。
そうしてリカを殺らずに社会的に消す事にした。
回想終わり。
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リカ『じゃあ、滝沢さんは私を殺す依頼を受けてたってことですか?』
滝沢『そうだ。』
リカ『だれ?』
リカは考えた。
『殺されるほど恨まれることした?』そう心の中で言い考えた。
だが思い当たらない。
リカ『誰なんですか?私を殺す依頼をしたのは……。』
滝沢『結城洋太だ。』
リカは、目を見開いて驚く。