洋太がこれを知ったらどう思うんだろう?


リカ『………』


そうだ!


バイト終わりのLINEの返信…


いつもならすぐに既読になり返信が来るはずの返信が来なかった。


忘れていたがリカはそこに引っかかっていたのだ。


リカ『もしかして…洋太にも何かあったの?……』


そして滝沢が殺し屋だとわかった。


殺し屋の仕事を目撃してここに連れて来られた。


あのとき一時的ではあるが死を恐怖し死を覚悟した。


なのに滝沢は助けてくれた


助けてくださいと言ったのは私だけど……


そんなに簡単に助ける?


殺し屋なのに…なぜ?


そして、環境大臣の大野勇次郎…


【政界の若きエース】


と言われてる二世議員が、まさか実の父親で元総理の殺害を滝沢に頼んだこと


いえ、それより私を消す……


リカ『殺し屋が政治家に私を殺してって頼むのはおかしい…よね?』


ということは……


不思議な感覚の一端はここにあった。


いや、不思議な感覚と言うより腑に落ちない。


その表現の方がしっくりくる。


少しここ1日の事を整理しよう。


バイトの帰り道の迂回路、LINEの返信、殺し屋が私を殺さない理由…


そして、私を消すという意味……


リカ『でもこれが全部繋がったら映画か小説よね…』


リカは体をタオルで拭き、先程買った服を着て部屋に戻る。


リカ『あの…』


滝沢は何も言わずリカを見る。


リカ『お風呂ありがとうございました…よ、良かったらお洗濯しとき、ましょう…か?』


滝沢『あぁ、頼む』


リカは洗濯をしに、また風呂場の方に戻り風呂場横にある洗濯機を回しだす。


部屋に戻ると、ソファーに座りまだ滝沢は考え事をしているようだった。


キッチン前の昨日炒飯を食べたテーブルにリカは腰を下ろす。


ここなら滝沢と少し距離が取れて少し安心する。


『ここを私の居場所にしよう』と心の中で思った。


フッと滝沢の方に目をやると、滝沢がこっちを見てドキッとするリカ


滝沢『お前』


リカ『あ、はい!』


滝沢『何か作れるか?腹が減った』


リカ『え?…は、はい』


そう言うと滝沢は風呂場の方に歩いて行った。


リカはキッチンに立ちパスタがあったので茹ではじめる。


意外にもだいたいの調味料はあり、ペペロンチーノなら作れそうだったので取りかかった。


ちょうど出来たペペロンチーノをリカがテーブルに置いてると、バスタオルを腰に巻いた滝沢がテーブルに付きさっそく食べはじめた。


リカも食べはじめる。


滝沢はあっという間に平らげ立ち上がり


滝沢『美味かった』


リカは小さく会釈する。


滝沢は冷蔵庫からビールを取り出しベッドに行きテレビの電源を入れた。


リカは食べ終わった食器を洗いその日もソファーで眠りにつく。