自分勝手にありがとうと言うよ

-しあわせ-

見上げれば広がる青空

思い出の中にあなたがいること

たくさん一緒に歩いてくれた


あなたといる時間はとても愛おしい

電話越し二人で見上げた夜空に満月



いつしか空を見上げる余裕がなくなって

月の見えない部屋に入れられて


あなたの便りに心弾ませて

想いを馳せた



そして酸素を失った炎は燃え尽き

赤らんだ空は次第に元の青さを取りもどして

夜になってもあなたへの思いに吞まれることはないんだ

-想っていた-

想っていたあの頃を
甘酸っぱい青春の頃よ
苦しかった記憶達は
優しく僕を見守るんだ

あなたへの想いを黒い箱に閉じ込めて
僕の一番奥で眠るその箱を
いつか誰かが見つける日が来るわけないよ

僕に見えるあなたの色は変わっていった
始めは赤
次は紫
そして白
今はそう、黒


今だから甘いあの頃に
戻ってみたらきっと涙でしょっぱいだろう
一言で“楽しかった”
振り返るのは僕だけだからそれでいい
辛かったのも、苦しかったのも
僕はそれをちゃんと分かっているから
だからそう

想っていたあの頃は
黒い箱の中身は
誰かに見つけてもらいたいほど
美しく、風化していくんだ
-会いたくない-

会いたいような会いたくないような想いを抱えて
それでもあなたといると楽しいから

あなたがいなくても平気になった
あんなに好きだった気持ちはもう、わずかしか残ってないから

友達
周りから見たら何も変わってはいない
ずっと友達
僕が好きだと思ったあの頃も
あなたに好きだと言ったあの時も
なにも、なにも無かったように

一つの事実だけがそこにあるんだ

悲しいよ、って
心のつぶやきは
掘り下げたくない


またあなたに会うのが
少し怖いよ
-永遠なんてなかった-


ずっとあなたを想っていたかった

もうあなた以外を好きになる自分を想像できなくて

叶わなくても
報われなくても
ずっとこの不毛な恋をしていたかった

ずっと
変わらないことを願ってた

ずっと
届かないことに気づいても

ずっと
僕の片想いでも

切なさに打ちひしがれても

終わりを望んだりはしなかった


だけど


永遠なんてなかった



あなたに恋する気持ちはもうない

それをさびしく思いながらも

またあなたを好きになることがないことを祈るよ

何度も何度も振り返っては
思う存分浸って
十分別れを惜しんだから

大丈夫


最後に残った友情すら
きっと永遠ではないと、僕は知ってるから

-自分勝手にありがとうと言うよー

もし、僕の人生にあなたがいなかったら

どんなにつまらなかっただろう

誰かを一途に想うことすら知らずに

流行を追いかけるように人を好きになり

くだらない見栄に自滅して

バカやってた


聞いてほしいよ 

あのね

ずっと僕を支えてくれていてありがとう
たくさん迷惑かけてごめんね

勝手に好きになって
勝手に苦しんで

最後には
自分勝手にありがとうと言うよ

あなたにもらった胸のときめきや、
眠れないほど昂(たか)ぶる心を持て余した夜

全てはもう過ぎた日々だけど

こんなにも愛おしい



もし、僕の人生にあなたがいなかったら

どんなにラクだっただろう

恋に苦しむこともなく

ただ与えられた人生をなぞり

くだらないと侮蔑して

嘲(わら)ってた


聞いてほしいよ

あのね

僕を好きだと言ってくれてありがとう
友達としてだって分かるよ

勝手に恋して
勝手に泣いて

最後には
自分勝手にありがとうと言うよ


そして僕はきっと
このままあなたを遠ざけることも上手くできずに

なにも変わらない友達でいるんだ

だから内緒
この恋が終わったこと
自分勝手にありがとうとさよならしたこと

でもあなたは多分
もう気付いているんだろうな……


言い尽くせないほど、ありがとう
これからのあなたの幸せに
友達として寄り添っていく心が決まったから

安心してね
もうあなたを
困らせるようなことは言わないから

ねえ、好きだったよ

僕は
あなたに恋して幸せでした

だから……

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