「……大魔王様に、暗示をかけられたはずだが……まぁ良い。お前、勇者と手を組むなんて……そこまで堕ちたのか。今、ここで魔王の反逆者として……制裁を加える!」

「……アーサー……来るよ。ルーチェ、ティム……援護を頼む」

クラル様の言葉に、僕とティムは杖を構えた。魔王の後ろから、大量のモンスターが走ってくる。

「ルーチェ!リルが結界を張ってくれている!これで誰も外には出れないし、思う存分に暴れられる!」

「……八咫烏、出番だよ……ディスペル」

僕が呪文を唱えると、黒い光が僕の体を包み込むように渦巻いた。背中に大きな黒い鳥の翼が生えて、杖の形状が変化する。

「その杖は……呪具だったのか」

魔王が、僕を見つめながら呟いた。

「呪具……!?呪具って、触ったものを呪うと言われている道具だよね?その力が故に、どこかに封印されたという……」

「そうだよ。この杖は、呪具の1つ……この館に封印されていた呪具だ。僕は呪い耐性が高いから、呪具に触れても平気なんだ。そして、この杖の化身、八咫烏……八咫烏は、本来の杖の力を封印するために生まれたんだ」

ティムの言葉に、僕がそう言うとクラル様はふっと笑う。

「本当に、ルーチェは頼りになる。周りのモンスター、頼んだよ」

クラル様の言葉に、僕は頷いた。