「……ありがとう。助かるよ」

クラル様は、校長先生に向かって笑った。



校長先生から事情をすべて話してもらった後、僕は八咫烏の力で空を飛んで上空から魔王軍の様子を観察する。

「クラル様、聞こえますか?」

僕は、通信器を通してクラル様に話しかけた。

『聞こえてる。どう?魔王軍の様子は……』

「……真っ直ぐに、町に向かって進んでます」

『そうか……ルーチェ、準備が整った。館の方に誘導してほしい』

「分かりました……」

僕は、呪文を唱えると沢山の黒いレーザーを魔王軍に向かって放つ。

「……こんにちは。魔王さん」

僕が先頭にいる魔王に話しかけると、魔王は「お前は、クラルのとこの」と僕を見つめた。

「クラル様の側近のルーチェ・クロウディアと言う。町を襲う前に、クラル様と話をしていただきたい」

僕がニヤリと笑うと、魔王は少し考えた後「良いだろう」と妖しく笑う。

「……クラル様の元に案内する。僕の後を付いてくるんだ」

僕は、そう言ってクラル様のいる館のある方面に向かって歩き始めた。



「クラル……それは、どういう意味だ?」

「そのままの意味だ。僕は、全力でお前らを止める」

魔王の言葉に、そう言ったクラル様は剣を魔王に向ける。