先輩、大切な人いるんだ…。

誰なんだろう…。

…ん?

なんで先輩の大切な人なんて気になるの?

『そうなんですね。あ、手伝ってくれてありがとうございます。』

先輩にお礼を言って、みんなのところに戻ろうと立ち上がろうとした。

…が、先輩からの返事はなく動けない。

「……。」

『あ、あの先輩…?みんなのところに行きたいんですけど。』

…ぎゅっ

え?

なんと先輩が私を抱きしめてきたのだ。

『せ、せんぱい?!大丈夫ですか?どこか調子悪いんで…。』

「…もう少し、このままでいさせて。」

そう言うと私の肩に顔を埋める。

心臓の音が聞こえちゃう…。


1分くらいすると先輩は

「ありがとう、元気出た。」

と言って去っていった。

私の顔は今、多分りんごより赤くなってしまっている。

その証拠に全身がすごく熱い。



そして、いよいよ試合が始まった。

マネージャーとして試合を見るのは初めてだったので、どんな感じなのか楽しみだった。

試合で見る蓮と一ノ瀬先輩は、練習の時の比にならないくらいかっこよかった。

特にアタックの瞬間なんて、他校の女子が歓声をあげるほどだった。


みんなすごい…。

チームワークが取れていて、とてもいい流れだった。

そしてこの試合は圧勝した。

私達は勝ち進んだので、午後も試合がある。

なので、私は蓮にお弁当を持っていく。

『蓮、お疲れ様ー。はい、お弁当。あ、一ノ瀬先輩もお疲れ様です。』

「おー、おつかれ!早く弁当食おうぜ!」