『え?!どうしたの?!』

「俺もやればできるんだからな!てか前回が調子悪かっただけだし。」

『今回がマグレじゃなくて?徳島先輩はどうでした?』

『ん?私?まあ、余裕だったよ。』

『そうなんですね。じゃあみんなで大会行けるんですね!』

私がそう言うと、みんな嬉しそうに頷いた。


こうしてテストは無事終了し、大会に向けての練習に精を出した。



ーーそして迎えた大会当日

「今まで練習してきたことを出しきってこい!!」

「「「はい!!」」」

先生からの話の後、それぞれ準備を始める。

私と徳島先輩は仕事の確認に行ったり、流れを確認したりする。

「乃蒼ちゃん、朝からお疲れ様。カメラ、設置できそう?」

観覧席でカメラの設置に苦戦していると、一ノ瀬先輩が声をかけてきた。

『あ、先輩。ちょっとここがわからないんですけど…。』

「ん、見せてみ?」

そう言って後ろから手を伸ばしてきた。シトラスの香りに包まれる。

ち、近い…。

ちょっとパニックになっていると、先輩の手首に赤いミサンガが結ばれているのが目に入った。

…ん?なんか見たことある。

『あれ、先輩ってそんなミサンガつけてましたっけ?』

「あぁ、これ。昔大切な人から貰ったやつでさ。お守り代わりに試合の時はいつもつけてるんだ。なんか力がもらえる気がして。」

そう言って先輩は、ミサンガを大切に扱っていた。