楓は全体的に取れなかったのではなく、理系科目だけが、赤点スレスレだったのだ。

『え、どうしたらこんな差の激しい点数になるの?逆にすごいんだけど?』

雪ちゃんが目を見開いて言った。

『そう、だね。でも国語や英語の出来、すごいじゃん!私より点数高いよ?』

私が褒めると、楓は嬉しそうに笑った。

『でしょでしょ?私昔から国語とかはちょー得意なの!』

『生粋の文系ってことね。』

雪ちゃんがそう呟く。

『まぁ、赤点じゃないなら大丈夫じゃない?見なさい、あの教室の隅っこで集まってる人たち。多分赤点取った人たち…。』
 
そう言って彼らに視線を向ける。

『ゆ、雪ちゃん、辛辣…。』

『あ、私先生に呼ばれてたんだ!ちょっと行ってくるね。』

『私も部活いこーっと。乃蒼はどうする?』

『私も部活行くから一緒に着替えるー。』

『了解。今日は何か差し入れ持ってくから楽しみにしてて?』

『やったー!楽しみ!』

そう言って席を立って、それぞれ行動する。


そういえば蓮の点数どうだったんだろ。

ちゃんと大会に出れるのかな?

そんなことを考えながら楓と体育館に向かう道中、人が集まっているのを目撃した。

『あれ、なんか人集まってない?』

『本当だ。なんか集まる要素あったっけ?』

朝の連絡では何も言ってなかった気がしたが…。