大量の荷物を持った俺と桃田さんはその足で文隆の眠る墓地へきていた。
太陽は沈みかけて周囲はオレンジ色に染まり始めている。
「ここが……」
目の前の墓地に足を止めて、俺は呟いた。
そこは確かに墓場だった。
しかし墓石はひとつしかなく、周りは雑草に覆われて今にも山に埋もれてしまいそうな状況だ。
近づいて名前を確認してみても、随分と石が削られていて読むことができない。
花や線香はどこにも見当たらず、遠くのほうに朽ちた花筒が転がっているのが見えた。
「人殺しのお墓なんて誰もこないからこんなことになるのよ」
桃田さんは憎憎しげな口調で言った。
その横顔は険しい。
俺はうなづくことができなかった。
人殺しの墓。
たしかにそうかもしれないが、妹の森安さんは文隆のことを嫌っているようには見えなかった。
と言っても、家だってあれだけ荒れていたのだから、墓参りだって来ていない可能性は十分にあった。
俺はまず周囲の雑草を引き抜くことから始めた。
さすがにこのままお供え物をしたって文隆の気持ちが静まらないだろう。
こうして、お墓が荒れていることも文隆の呪いが止まらない原因のひとつになっているのかもしれない。
太陽は沈みかけて周囲はオレンジ色に染まり始めている。
「ここが……」
目の前の墓地に足を止めて、俺は呟いた。
そこは確かに墓場だった。
しかし墓石はひとつしかなく、周りは雑草に覆われて今にも山に埋もれてしまいそうな状況だ。
近づいて名前を確認してみても、随分と石が削られていて読むことができない。
花や線香はどこにも見当たらず、遠くのほうに朽ちた花筒が転がっているのが見えた。
「人殺しのお墓なんて誰もこないからこんなことになるのよ」
桃田さんは憎憎しげな口調で言った。
その横顔は険しい。
俺はうなづくことができなかった。
人殺しの墓。
たしかにそうかもしれないが、妹の森安さんは文隆のことを嫌っているようには見えなかった。
と言っても、家だってあれだけ荒れていたのだから、墓参りだって来ていない可能性は十分にあった。
俺はまず周囲の雑草を引き抜くことから始めた。
さすがにこのままお供え物をしたって文隆の気持ちが静まらないだろう。
こうして、お墓が荒れていることも文隆の呪いが止まらない原因のひとつになっているのかもしれない。