「森安さんたちが今どこに暮らしているか、ご存知ですか?」


「さぁ……。両親が亡くなってから妹さんも出て行って、それっきりよ」


「そうですか……」


どうにかその、妹さんに連絡がとりたかったので、俺は桃田さんに自分のスマホ番号を教えた。


なにかわかったことがあったら伝えてもらうためだ。


「じゃあ、私これから買い物があるから」


「はい。お引止めしてすみませんでした」


頭を下げて、慌てて財布を取り出す。


「いいのいいの。大変な目にあった学生さんに支払いをさせるわけにはいかないわ」


「すみません。ご馳走様です」


俺は申し訳ない気分になりながらお礼を言い、桃田さんと別れたのだった。