日本のほぼど真ん中に住むわたしたちは、海に行くことなんてめったになかった。 わたしのふたごのおねえちゃん、かおる。 家がとなりでおさななじみの、新大(アラタ)。 そしてわたし、ゆしま みなみ。 わたしの中で、小さなころの唯一のせんめいなきおく。 その日の思いつきで、こどもだけで電車にのって、こどもだけで道をたどって、こどもだけではじめて海にきた 十年前の夢だった。