そしてついに「坂野志保」と「五十嵐柊」は秋から一緒にクラス長を始めた。

これを機に、五十嵐柊はさらにクラスの人気者に変わりつつあった。


まずは志保発案で呼び名が「柊」になった。
当時、女子に人気の男子は下の名前やあだ名で呼ばれることも多かったので
今回「柊」はその域にランクアップ(?)となったのだ。

それに関しても「うるせえ」「やめろ」なんて言いながらも
最終的には志保の押しに負け、呼び名は好きに決めていいということになったよう。

そしてその日を境に私を含む女子たちは彼のことを「柊」となれなれしく呼ぶことになる。
「坂野さんって五十嵐柊が好きなんじゃない?」という噂も
こういった背景から生まれたのだろう。


ちなみに当の志保が五十嵐柊を好きだったかどうかは結局のところ知らずじまいだ。
なんせ志保にはこの頃先輩彼氏がいて、柊のことを好きとは一言も言ってなかったから。

ただ…長年幼馴染をやっていた私の勘で言わせてもらうと
少なからず好意は持っていたように印象に残っている。
まあ、それも今となってはどうでもいい話。