「そういえばさ、クリスマスって予定ある?」

夕食を取るために動かしていた手が、ぴたりと止まる。

幼少期のことを思い出した。


毎年クリスマスイブを迎える度に、今年もサンタさん来てくれるかな、来てくれるといいな、と幼い胸を期待でいっぱいにして眠っていた。そして枕元に置かれたプレゼントを見ては、寝癖だらけの髪もそのままにベッドの上で飛び上がって喜んでいたものだ。

今思えば、あの日だけは勉強しろと叱られることもなく、一日中プレゼントで遊んでいたっけ。

でも、そういった純粋さは刹那の銀花のように消え、次第に恋人達が愛を誓い合う聖なる日へと変化を遂げる。

別に全然いいのだけど。それでも充分、素敵なのだけど。


「別に、特にないよ」

シチューに視線を落としながら呟く。私の名誉のためにはっきりさせておくが、決して意識した訳ではない。

何故いきなりそんなことを訊くのだろうとちょっと困惑しただけだ。渚さえよければ一緒に過ごしたいだなんて微塵も思っていない。断じて!


「どうしてそんなこと訊くの?」

「ふふっ、それがね……」