「え、いいの?」


お願いしますっ! と勢いよく手を合わせられて、内心どきまぎしつつも口に出せたことにこっそりガッツポーズした。

「鶏肉、玉ねぎ、人参、じゃがいも……。あ、ブロッコリーもある」

牛乳もあることだし、ホワイトシチューにしよう。最近気温が下がってきたから、きっと体が温まるはずだ。


鍋にバターを引いて、一口サイズに切った野菜とお肉を焦げ目がつかない程度に炒める。

玉ねぎがいい感じに透き通ってきたら薄力粉を投下し、しばらくしたら水も追加してよく混ぜる。

このまま弱火でコトコト煮込めば、ホワイトシチューの完成だ。


私が料理をしている間にライブ映像でも見るのかと思いきや、渚は食卓について興味津々にこちらを観察していた。

いくら体に馴染んだ作業とはいえ、あまりにもじろじろと見られると、なんだかやりづらいような気がしないでもない。

出来上がったシチューを器に盛りつけ、薄く切ったフランスパンと一緒にテーブルに運ぶ。


「美味しい」


一口食べた渚が、ぽつりと感想を漏らす。


「そう? ならよかった」

いつも一人で作っては一人で食べるの繰り返しだったので誰かに手料理を褒められる機会は滅多になく、素っ気なく言ったつもりだったけど、内心かなり舞い上がっていた。

にやけそうになる口元を隠すように。パンをシチューに浸して口に運ぶ。