十三曲全てを聴き終わる頃には、外はとっくに夜の帳を下ろしていた。

ずっと同じ体勢で聴いていたせいか、体が悲鳴を上げている。思い切り上半身を伸ばしながら、何気なく尋ねる。


「そういえば、今日夕飯はどうするの?」

朝話したとき、両親は不在だと言っていた。出前でも取るのだろうか。リビングに戻り早速ライブ映像を見ようとする渚に若干呆れながらも、ふと疑問が脳裏に過ぎる。

「うーん。特に決めてないけど、適当にちゃちゃっとなんか作ろうかな」


欠片も考えなかった可能性に、無意識に目を丸くする。


「渚、料理とか出来るの?」

この間の調理実習、ほとんどサボっていた癖に。


「まぁ、簡単なものくらいだったら……って、なにその顔」

「いやぁ、なんか意外だなって」

正直言って、カップラーメンしか作れないタイプの人だと思っていた。


「別に得意って訳でもないけど……。作るの面倒だし、どうしよう」


「……もし迷惑じゃなければ、私が作ろうか?」