「それでは、私は失礼します。」


アリスは、その場でどこかへと消え去ってしまった。




「あ、おい!ちょっと待て!」



そう言った時には、遅かった。






「本当に心から愛する人?



この世界を美しくする?




なんだよ、そんな馬鹿げた話があるのか。」







「陛下。アリス様は、魔法使いの民族の中でも稀な民族の方であります。



昔に、あるお国を救われたとか、たくさんの噂がございます。



ですので、信じて良いかと。」




ジョンは、動揺する陛下を落ち着かせるように言った。







「それは、この俺でも本を読んでいるから知っている。


だがな、この俺に、誰かを愛することなどできると思うか?



もう、愛なんかいらないんだよ。」






陛下は、何かに恐怖を感じていた。




側近の部下のジョンは、陛下が最も信頼する人でもあるのだ。