『ルアーナ。もう法律の勉強などしなくていい。
お母さんのことは、もう忘れなさい。』
宮殿から離れた街で、お父様と暮らしていたが、
いきなりお父様がそう言った。
『なぜそんなことを言うの!?
私は今でもお母様が好きだし、絶対にこの事件が王族による陰謀だって
証明したい!
別に政権を奪還したいとか宮殿に住みたいとかじゃないの。
ただ、・・・・王族が許せないだけなの。』
私は、立ち上がって言った。
『お父さんはね、ルアーナに苦しい思いをさせたくないんだよ。
お母さんのことは、お父さんも許せない。絶対にね。
でも、君はまだ10歳なんだ。こんな醜い感情を持って欲しくない。
ただ幸せになって欲しいんだよ。』
この時のお父様は、既に病に犯されていたのだ。
ずっと勉強に明け暮れた私は、お父様がもう長くないと言うことに
気づかなかった。