「うん…?」

麻里の手から生徒手帳を受け取って中を開いた瞬間、あたしの中になんともいえない感情がジワリ、と押し寄せてくるのがわかった。





その中身は、家族写真だった。




流くんをだっこした中年のおじさんと、今まで見た事のないくらいまぶしい笑顔の麻里。

「それ、今年の4月にとったんだぁ」

「…麻里」

「こうして3人でいる時が一番幸せ」

「うん…」

「っ…ひっ…」

「麻里…」

慌てて写真から目を外すと、麻里の瞳はたくさんの涙でいっぱいだった。

「あたしっ…あの人の人生狂わせたのっ…家族もっ…何もかも壊したのっ…」

「それは…」

麻里だって同じじゃない。
むしろ、失ったものが確実に多いのは麻里じゃん…

自分ばかり責めるのは、

「でもっ…いくら後悔しても…あたしあの人のこと…好きなの…愛してるの…!」





―愛しているから―