吸殻を上履きで踏み潰す麻里をみてあたしも慌てて踏み潰した。

あ…
どんどん小さくなる声。
鼻をすすって空を見上げる横顔。

あたしはいつもより麻里が近く感じた。

でも1つだけ。
どうしても気になったことがある。

彼が自分のものになったのに、どうして涙を流すの?
あたしだったら、すごく喜べるのに。

ねぇ、麻里。



「今でも、契約したこと」

「後悔してるよ」



「…そう」

「あ」

思い出したかのようにポケットから何かを取り出す麻里の姿を首をかしげながら見ていると、

「これ」

とにっこり笑って差し出したのは麻里の生徒手帳。

「…?」

何で生徒手帳?混乱しているあたしを急かすかのように

「中、見て」
と、麻里は強く言った。

だけど、その手は…震えていて。