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「ねぇ」

「ん?」

「ありがと」

「おー」

いつもあたしのためにいすを半分空けてくれるのは普通に嬉しい。
いや、その気遣いはありがたいんだけどさ?

「武?」

「あ?」

「何でいっつもここなの?」

あたしがぐるりとその部屋を見渡すせば、武はかったるそうに

「何でって…おまえさ。ここに俺のピアノあるからに決まってんじゃん?」

わかんねーの?と付け足して武はピアノの蓋を開ける。

いや、これは学校のピアノだよ。
うーんと…
笑っちゃいけないと思うんだけど、やっぱりおかしくてあたしは思わず、
「似合わん」
口に出した。

「うっせ」

だって、ホントに似合わないんだもん。

音楽室、ピアノ…そして…武。