「い、いないけどっ…なんで?」

だって、あたし…愛人だし。
複雑な思いを押し殺して。
極力ポーカーフェイスを維持して斜め前にいる麻里に視線を向けると、フッと笑って席を立った。

ちょっ…麻里ぃ…

そんなあたしをよそに、話は進む進む。

「そーなのー?倫だったら年上の彼氏とかいそうっ」

「うんうん!医者とか弁護士とかぁ、エリート系?」

「そーそー!」

「うらやましー!玉の輿じゃん?」

どんどんあたし抜きで広がるあたしのまだ見ぬ彼氏論議はとどまることを知らずに続く。

あたしの友達ってゆーか…
あたしの周りにいる子たちは、1つ年上の麻里と絡んでいたり、アイドルである武とつるんでいるあたしを一目置いているらしい。
あたしとしては、けっこう不本意だったりするんだけど…



「ガールズはこんなに愛想のない女に彼氏なんてできると思ってるわけー?」