「おーす」

武が一言声を出しただけでこのとおり。
教室に散らばっていたほとんどの女子が武のもとに駆け寄ってきた。

「あ、たけクン♪おはよっ」
「たけしだぁ♪」

武曰く「(俺にはまってる)ガールズ」たち…

「相変わらず、毎日やるわねー…」
麻里の呆れ声に
「飽きないのかな」
あたしもうんざりした声で返すと
「飽きないんでしょうねえ…」
そう言って麻里は大きな欠伸をして自分の席に座った。

こんなやつのドコがいいんだか…わかんない。
でも、実際…武はあたしのクラスのアイドル的存在で、毎日武の周りは常に大奥状態なんだよね。

180cmはある身長に程よい筋肉のついた体つき。
サラサラの茶髪。
パッチリ二重の大きな目。
スッと通った鼻筋。
いわゆるジャニーズ顔負けの甘いマスクの美少年。
そして、誰にでも打ち解けることのできる明るい人柄。
まぁ、一般的にはかっこいいんだよね、きっと。
この前、街歩いてた時もスカウトされてたくらいだし。

でも、あたしは貴也さんみたいな大人がいい。

てか…毎日こんな状態。
武は疲れないのかなぁ?
あたしは麻里と顔を見合わせ、苦笑いをこぼした。