「グラタン、シャルロットと頑張って作ったんですよ」

「少し焦がしてしまいましたね。次はもっと上手に作らなければ……」

「ええ〜。すごくおいしいけどな」

「メルキュール、春巻きおかわりする?」

「みんなたくさん食べてね」

「そうだぞ。食費が一人分浮いたんだからな」

一人分浮いた?それって僕のこと?ドクドクと心臓が音を立てる。冷や汗が噴き出し、緊張で体が強張った。

「父さん、母さん、僕も食べていいでしょ?家族なんだし」

震える声で僕が言うと、ようやくみんなこっちを見てくれた。でも、その目はいつもみたいな優しいものじゃない。冷たく、まるで敵対しているような目だ。

「何言っているの?この穀潰し!」

母さんがそう言った刹那、僕の体に冷たい水がかけられる。クスクス笑いながらエリカとシャルロットが僕を見ていた。

「お前には出て行けと言ったはずだぞ。何故ここにいる?」

父さんに胸ぐらを掴まれる。怖い……。こんな父さんを見るのは初めてで、声が出せなくなる。