「今は警察の捜査を信じよう。ノワールたちは無闇に外出しないこと。わかったね?」

父さんに言われ、僕たちは頷く。僕は顔には出していないけど、不安でいっぱいだった。オズワルドさんは僕たちをきっと恨んでいる。もしも、また事件を起こしたらーーー。

「ノワール」

俯く僕の肩をメルキュールが優しく触れた。メルキュールは僕を安心させるように笑っている。

「オズワルドさんは魔力を奪われている。それに、刑務所がある街からこの森までは遠い。オズワルドさんは僕たちに接触する前に捕まるよ」

「うん、そうだね」

魔力を持たない人間は魔法を使えない。オズワルドさんは、瞬間移動もほうきに乗ることもできないんだ。

「さて、暗い気分を紛らわせるために今日の夕食はごちそうを作るわよ!」

母さんがそう言って立ち上がり、エリカとシャルロットが「手伝います」と同時に言う。

世界で暗い出来事が起こっていても、この場所はとても温かい。僕にとって一番の幸せなんだ。