「先生が今書いているのは、前作の続編ですよね?吹奏楽部の人たちが戦争が起きている異世界に迷い込んでしまって、音楽の力で世界を平和にしていくお話の」

「そうだよ。元の世界に帰った主人公たちがまた異世界で活躍するんだ」

僕がそう話すと、エリカは優しい表情になる。こういう時、エリカはいつも過去のことを思い返しているんだ。

「先生、変わりましたよね。あの事件が終わった日から、先生の書く作品が前より明るくなって……。私、今の先生の作品の方もすごく好きです」

「ありがとう。でも、僕が変わることができたのはみんなのおかげだよ」

今から一年前、僕たちは魔法警察のオズワルドさんに頼まれて本の中に人が閉じ込められるという事件の調査をしていた。エリカ、そして今この家に住む仲間は本の中に閉じ込められた人たちだ。

本の中で暴れ回る物の怪を倒し、閉じ込められた人を助けていたんだけど、事件を引き起こしていたのは、僕に調査を依頼したオズワルドさん本人だったんだ。