まだ、雨は止まない。
それどころか、雨足はどんどん強くなるばかりだ。
最近の天気ニュースは、到底あてにならない。
それを、身をもって実感する昨今。
「はぁ…花冷えはするけど、雨なんて降らないんじゃなかったのか?」
ガシガシとタオルで頭を拭いて、さっき無事に自宅へと送り届けた彼女のことを思い出す。
「風邪、引くなよ?」
呟きは、小さく固まってそのまま床に落ちた。
彼女、弥生子と俺は生まれた時からの幼馴染。
そう…彼女曰く腐れ縁というやつだ。
…俺は、そんな風に思ったことは一度もないのだけれど。
気の強い、跳ねっ返りな性格の彼女。
そんな彼女の、一番深くて柔い場所を知るやつなんて、きっと俺くらいしかいない。
それは、今でも信じている。