潤がそう言うと、静香は「そんな……」と絶望的な顔を見せた。

「誰からも理解されないなんて、どうしたらいいの?」

そう不安げに訊ねる静香は、初めて自分がHSPだと言われた時の潤に似ている。潤は優しく微笑み、言った。

「まずは、医療機関を桜さんが受診して話を聞いてもらったり、薬を出してもらったりしよう。それから、自閉症スペクトラム障害について特性を勉強して、互いの行動原理を理解してルールを決めたりするのもいいし、距離を置いて生活することで関係性を変えるきっかけを作るのも一つ。ただ、お兄さんに自閉症スペクトラム障害の診断を強要したり、対処法を押し付けるのはダメだよ。お兄さんは自身の言動が人を傷付けているってわかっていないから、無理に受診させるとお兄さんを傷付けることになる。そして、お兄さんにはお兄さんに合った対処法があるから、無理に押し付けると反発を招くことになるからお兄さんに合った対処法を見つけよう」