文久3年7月 さよが京に入って1か月が経っただろうか。 居候させてもらっている茶屋の仕事にもなれ、京の暮らしにも慣れたように感じたが、京の夏は江戸に比べ、暑さが厳しく、体力は落ちていた。 「また浪士組が騒ぎを起こしたらしい。」 「ほんまたいがいにして欲しいわ。」 今日も今日とて人々の話題は『壬生浪士組』だった。