『原田左之助』 さよは青年の名前を昔から知っていた。 あの青年は原田左之助であることは知らなかったのだが、知っていた。 原田が根付けをお届けに来た日、さよは自室である手帳を開ていた。 そこには身に覚えのない人々の情報が記されていた。