そんな荒くれものの集団の中でただ、ひたすらに己の志のために誠意を尽くす百姓や農民の出の近藤や土方の存在はとても大きく見えていた。



切腹をすれば死にぞこないと言われ、短期な性格ゆえに仲間とはうまくいかなかった奉公時代を思い返せば今の生活は充実したものといえるだろう。




そんな生活をさらに充実させたのはほかでもないさよだった。



店に入ればいつも笑顔で、小柄なのによく働き、入れる茶も格別だった。




原田とて女に困ることはない美男子であるのだが、自らが好いた女は久々であったため、傷心は思ったよりも大きかった。