思えば、京にきてふた月経つがまともに外出したことはなく、近くの八百屋に夕餉の買い出しに行くくらいで、貰っている給金も店の内装や老夫婦への贈り物にしか使ったことはなかった。




沢山の商店が並ぶ中、呼び込みをするでもなく、看板を立てるわけでもない、素朴でいて品のある店の前で足を止めた。





そこには、細かな細工から繊細な筆遣いの小物たちが所狭しと並んでいた。