暦が8月に入るとこれでもかというほどに京の暑さは更に増していった。




この日さよは店主夫婦のお使いに町へ繰り出していた。




お使いとは言っても、休日に外に出かけもせず老夫婦の世話ばかりしているさよを外へ出す口実に過ぎなった。



隣町の反物屋に婦人の調整依頼していた着物が完成したため、受け取りに行くように頼まれたのだ。




ついでに、たまには給金を自分のために使ってきてくれという老夫婦の気持ちに押され、商店を見て帰ることにしたのだ。