次に私が目を覚ました時、幸助とナツ君がベッドにもたれかかるようにして寝ていた。
そして私の体はすっかり元通りになっていた。
眠る二人を見て思う。
寂しい一人暮らしを送っていたけれど、私の周りには心配してくれる人がいる。
寝ずに看病してくれてたのかな……。迷惑かけちゃったけど、なんだか微笑ましい。
ナツ君は冷えピタの箱を抱えているし、幸助は………シンプルに爆睡していた。
よだれが垂れていたが、何かしらの勲章ということにして、気にしないことにした。
ともあれ起こさないように、二人を上手に跨いで朝食の用意をする。
キッチンにちょっとこぼれたミロの粉を見て珠手のことが浮かんだ。
私は良かれと思って珠手の前では甘いものを控えていたけれど、それが裏目にでたみたいだった。
「でも、なんで珠手は怒っちゃったんだろう。私が珠手に気をつかってたから? それとも、幸助のこと原因?」
わかんないなあ……。
珠手に電話もしてみたが出てくれない。いよいよ本格的に怒らせたのかもしれない。
いや、そういえば珠手は人付き合いに無頓着で、約束にルーズなところや気まぐれなところがあった。だから、あれは怒ったんじゃなくて気まぐれを起こしたのかも。
珠手を事実上『クズ』と表現してきたが、あくまで彼に関わった女の子が口を揃えて言うセリフであって、
実際、そういう一面を私はこの目で見たことがなかったし、そう感じたこともなかった。