珠手は男友達が少なかった。


というか、男と喋ってるのを見たことがない。


だから、アホみたいな話で盛り上がるのに憧れのようなものがあったのかもしれない。


一応、異性同士私たちが仲良くしていることをよく思っていない一部の女の子もいるんじゃないかと勝手に思っていた私は、

初めこそ、いつの間にか横にいる珠手を不審げな目で見ていた。


いらぬ反感は買いたくない。


そういう思いだった。けれども、私の知る限り、そのような嫉妬やいじめのようなものは一切なく、まったく、これっぽっちもなく公認の友人となっていた。



無駄話をして大学生活を送りたいという、極めて贅沢な珠手の望みは、私によって易々と叶えられることになった。


なんたって三度の飯より無駄話の、私はいわゆる無駄話協会会長だったので、これほどの適任者はどこを探しても見当たらないことだろう。



 ………そんな男と友達でいられるということは、お察しの通り、私は女の子としての素質を欠いていた。悲しいかな。


お掃除もちょーっと苦手だし、雑なところもある………。


とにかく、こんなこと自分でも言いたくないけれど………イメージダウンを恐れずに見たまんま言えば、この私に『いい女感』は微塵もない。


とは言っても女の子の端くれであるから、女の子なら誰彼構わず優しい珠手にまで、そこそこ雑に扱われるのは、複雑である。


優しくして欲しいわけでは全くない。それでも、自分は「女」とか「男」とかの場外に放り出されたような感覚だった。