―彼女に会ったのは、中学生活二年目の、春だった


「 お前、俺と喋ったことあるよな? 」

当然、彼女は「は?」という目で俺を見た。
端から見たら俺はナンパしているようにも見えるだろう。

だが違う。

本当に話した事があるのだ。
二人とも髪の毛が伸びている、だとか
容姿がそれなりに変わっているところがあり
最初は全く気がつかなかった。

だけど、あの時みた彼女とまさに同じだった。


―数ヶ月前―
「美沙ー。部活いこー?」

その日も彼女は来た。
毎日毎日、クラスメイトの"風理 美沙"を迎えに来た彼女を
初めてその日に見た。
「うん、ちょっとまって」
「おっけ」


眼鏡をかけていて、髪の毛は二つ結び。
前髪は長く、軽く顎のところまではあるだろう。
「あ、桜だ桜だー」
「は?」

一緒に居た、"阿部 聡"が彼女をバカにし始めた
「知り合いかよ、聡」
「同じ小学校」
「聡、うるさい」
ドアに寄りかかっている彼女は、笑いながら、聡と話していた
「桜って今も男らしいのかよ?」
「別に。昔とかわんねぇよ」
「んじゃ男らしいってことじゃんか」
彼女の名前は"森松 桜"
俺は一目で彼女を気に入ってしまった
「おもしろそー。俺もかーたろっ」
一緒にいた、"星崎 桂都"が森松を一緒になってからかっていた
「お前等ずりーって。俺も俺も!」
「だーっ!!お前等うぜぇ!散れ!」
「いーやだねー」

その頃俺は、眼鏡をはめていて、ふざけていたが
半分地味系が入っていた。
森松もその部類だっただろう
だが、友達は不良が多く、一緒に居る友達は皆ピアスを開けていたり
普通に酒や煙草が好きという、普通に考えれば森松とは全然タイプの違う子だった。

「さくら大変だねー」
「速くしろよ、お前!」
「はははーっ、嫌だあ」
「桜のばーか、男らしー」


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