「あ、あの! フレデリカ様がなにかしたのでしょうか!」
「なにかもなにも、彼女はここにいるリリンに嫌がらせをした。その罪をここで」
「その証拠とかあるんでしょうか! あったとしてそれはこんな大勢いるところで見せしめるほどですか!? 三大公爵家が全員汚職しててもさすがにこれはないかと思いますけど!」
一応、王国法の中に被疑者を守る法律だって存在する。
それはあくまでも被疑……つまり容疑の域を出ていないからだ。
きちんとした王国の警察組織による調査と、正当な王前裁判を経て初めて衆人の前での糾弾が許される。
なのにこれはあんまりだ。しかもいじめって! フレデリカ様がそんなちゃちいことするもんか。
「その女は次期王妃の予定であった! だからこそそんな悪女を許すわけにはいかないのだ! そこをどきたまえ、アランスタイン嬢!」
「どきません! 絶対にどきません! フレデリカ様はそんな安っぽいいじめなんかしません!」
「君も一緒に裁かれたいのか!」
「冷静に考えればわかることです! 庶民なのでしょう、そこの、れ、れ……なんでしたっけ「レーベル嬢よ」そうそれ! レーベル嬢! フレデリカ様がどうこうしなくても、フレデリカ様が公爵様にお伝えしたらそれだけで片付く話ではないですか!」