そうですわ、ご立派だったわ、とあちこちから声が飛ぶ。

 思い出したら恥ずかしくて死にそうではあるけど、周囲の評価がいいのであればまあ、いいか。

 少なくとも私に引きずられてジーク様が悪評にさらされる心配はなさそうだ。


「君が俺をなんとも思っていないのは知っている。だから俺もそうしていようと思ってきた。だが今日の君を見て俺は君をもっと誇らしく思う。イース、俺は君のその素晴らしさを裏切らない婚約者であると誓う」

「え」


 わっ、と周囲が沸く。え、何この空気、なんで沸いてんの。そこの令息たちもなにほほえましい顔してるの? どういう状況?

 ジーク様は私と過ごすことを義務だと思ってたんじゃないの?

 本当は鍛錬や騎士団や、なんかそういうほうに興味があって、私といるのは一種のお仕事なんじゃないの?

 だからいつもちょっとそっけなくて、武芸の時間も長くとっていて、って感じじゃなかったの?

 超堅物みたいな感じだったじゃん。

 事態が呑み込めていない私に向かってジーク様は子供の頃にみた咲くような笑顔で言った。


「俺の真実の愛は、君とともにあるのだと思う」