「イース嬢、娘を助けてくれてありがとう。心から、礼を」

「とっ!? とんでもございませんです! むしろあの、フレデリカ様を泣かせてしまいまして……」

「さあ、フレデリカ、一度ここを離れよう、イース嬢にお礼を」

「ぐすっ、イーズざま、ひっく……かばって、くださって……わたくし……わたくし……」

「かばったなんてそんな、えーとえーと、フレデリカ様はそんなことしないって思っただけですから!」


 もうだめだ。キャパシティがオーバーヒート起こしまくっててもうなにがなんだかよくわからなくなってきた。

 そろそろ倒れたいしいっそ気絶したい。目が覚めたら夢でしたってことになっていてほしい。


「ぐずっ、あの、ハンカチは後日お返ししますわ……」

「え、は、はあ……そんなくたくたので、なんかすみません……」


 ゆったりとした足取りで出口に向かっていく公爵閣下とフレデリカ様をみつめながら怒涛だったな、終わったなとおもうと足の力がすっかり抜けてしまった。

 その場にへたり込むと周りのご令嬢が手を貸してくれる。

 それを見て慌ててジーク様が駆け寄ってきた。ああ、だめですよそんな、室内でそんな全力疾走したら危ないですよ。